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滑川洋右

茨城県の伝統と文化を物語る、味わい深い獅子の顔!

茨城県伝統工芸品の常陸獅子頭を手のひらサイズにしました

無病息災、家内安全の魔除けとして飾りたい逸品です。

 

黒くて太い眉、角がないところが特徴的な茨城県伝統工芸品の「常陸獅子頭」。茨城県は桐の生産が盛んなため、桐を使った獅子頭が作られるようになり、石岡市の常陸國總社宮例大祭では古くから露払いの獅子舞が行われています。神栖市知手の滑川洋右(なめかわようすけ)さんは、地元の七夕祭りにも獅子舞を取り入れるために修行をし、常陸獅子頭を作るようになりました。

 

この常陸獅子頭を手のひらサイズにして、特製の座布団を付けて、ふるさと納税の返礼品としても全国にお届けしています。無病息災、家内安全の魔除けとして、ご家庭にも飾ってみませんか?

地元で行われている七夕まつりで舞う滑川さんの常陸獅子

 

 

滑川さんの作る常陸獅子頭。

 

常陸獅子は、常陸國總社宮例大祭で奉納される獅子舞用として江戸時代から石岡市で作られてきました。その伝統的な技術を学び、守り、全国各地の獅子頭の良いところを合わせて作り上げているのが滑川さんの常陸獅子頭です。特に獅子頭の良し悪しを左右する表面の塗装にはこだわっているそうです。

 

ご家庭で獅子頭を飾る場合は、直射日光の当たらない場所でケースかガラス棚に入れてください。そのまま飾ると埃がつき、それをふき取る際に塗装や金箔が剥がれることがあります。また、木の収縮があるため、出窓などの温度差のある場所も避けてください。ケースやガラス棚でしっかり保存すれば、ずっと獅子頭のご利益があるかもしれませんね。

工房には滑川さんが製作した全国の様々な獅子頭が飾られています

伝統的な技法で常陸獅子頭ができるまで。

 

滑川さんは常陸獅子彫刻伝習館に所属し、伝統的な技法を身につけ、師範の資格を取得して教室での指導も行っています。常陸獅子頭がどんな風にできるのか、その製造工程を追ってみましょう。

滑川さんの作業風景

 張り合わせ

まずは桐の板を重ねて接着します。獅子頭の大きさに合わせて板のサイズを決め、数段ずつ乾かしながら張り合わせます。接着剤が乾かないうちに作業をするとズレが生じるため、一気にはできないそうです。小さいものは数日、大きいものは1か月前後かかります。後の仕上がりにも響く肝心な最初の作業です。

作品の大きさに合わせて製材した桐板を接着剤で組み立てます

彫り

目、鼻等全体の位置を下書きし、荒彫りします。大体の位置に彫っていき、それが決まったら仕上げ彫りを行います。なるべく平らに、丁寧に彫り上げていきます。 こちらも大きさによって異なりますが、小さいものは1週間、大きものは3ヶ月ほどかかります。形が変わっていく様が楽しい作業でもあります。

しっかりと下書きして少しづつ全体を削っていきます

少しずつ形ができていきます

磨き、布貼り

仕上彫りをした後サンドペーパーにて磨き、凸凹を修正して表面を滑らかにします。滑らかになった面に、布や和紙を貼っていきます。大きいものはガーゼのような布、小さいものは和紙を貼ります。この一手間は、木の張り合わせの収縮を抑え、直接塗装をするよりも傷みが少なく、長持ちをさせる効果があります。

形が整ったら、塗装の前に大きな作品にはガーゼを貼ります

小さな作品にはガーゼではなく和紙を貼ります

塗装

獅子頭の大きさに関わらず、まずは下塗りを5~6回繰り返します。塗料を塗って、乾かして、サンドペーパーで磨きます。次に中塗りを同じように4~5回繰り返します。最後の上塗りは、表面の色艶が整うまで10回以上行います。トータルで20回以上、1回ごとに乾かしては磨きの作業を行うため、かなり日数がかかります。大きいものは1回の磨きだけでも1週間かかるそうです。一番気を使う根気のいる作業です。

1回ごとにサンドペーパーで磨き、下塗り、中塗りを各数回ずつ繰り返し、表面の凸凹を修正します

磨き、上塗りを数十回繰り返し、表面の色艶が整ったら、黒色部分の塗装を数回行い、最後に目や歯の部分に金箔を貼ります。毛と耳を取り付けて、座布団にのせれば完成です。張り合わせから完成まで、大きいものは1年2~3ヶ月、小さいものでも最低3ヶ月は費やします。

工房にある獅子頭の中で一番大きな作品です

私の作った獅子頭で踊ってくれて、それをみんなが見てくれるという喜び。

 

常陸獅子頭を作り続ける、滑川洋右さんにお話を伺いました。

 

私が常陸獅子頭を作るようになったのは、今から17年ほど前です。地元・神栖市のお祭り「かみす七夕まつり」で山車の鳴り物をやっていて、何か賑やかなものを加えたいと考え、獅子舞を思いつきました。ちょうど新聞の折り込みで常陸獅子頭作りの教室を見つけたので申し込み、石岡市まで毎週通って伝統的な製作工程を習得。平成18年に先生から師範の資格をもらい、行方市の教室で教える立場にまでなりました。

茨城県伝統工芸士の認定を受けました

14~5年前から私の作った獅子頭を使って、「かみす七夕まつり」でも子どもたちが獅子舞をやるようになり、その後に2つ目、3つ目を作って10年前に3頭揃いました。当初の念願がかない、子どもたちが私の獅子頭で踊ってくれて、それをみんなが見てくれるという光景は感慨深いものがあります。また、石岡市のお祭りに合わせて行われる展示即売会で、私の作品を選んで買ってくれる人がいるのも獅子頭作りのやりがいになっています。

 

常陸獅子頭の教室に通い始めた頃は、自分の思うような形にはできなかったけれど、失敗と経験を繰り返して、自分らしい獅子頭が作れるようになりました。もともと子どもの頃から細かい作業が好きだったので、今は楽しくてしょうがないです。年相応に体が動く限り、これからも常陸獅子頭を作り続けていきます。

常陸獅子頭を作っている滑川 洋右さん

※写真はイメージです。

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