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越田商店

噂が噂を呼び今やひっぱりだこ!この鯖を食さずに鯖を語るなかれ

一枚一枚手開きした鯖の美しいこと!旨みに差が出る骨の髄(赤い点々)もしっかり残っています

料理人の舌をうならせる完全無添加の鯖の文化干しをご自宅で

 

トルコが本家のサバサンドをこの鯖で作ってほしいと頼まれ作ってみたところ、とんでもなくおいしい!と評判になり一躍カフェの人気メニューに。また、この鯖を使った塩焼き定食しかメニューにない鯖の塩焼き専門店がお目見えするなど、数多の料理人の舌をうならせ、食材に使いたいと注文が殺到する噂のブランド鯖。

 

大ぶりで脂ののったノルウェー産の真鯖を45年守り続ける熟成つけ汁に漬け込み、添加物・着色料・防腐剤などを一切使わず丁寧に天日干しして作った昔ながらの干物です。身がふっくらとしていて魚特有の臭みがなく、塩加減がとにかく絶妙!青魚は苦手という神栖市のふるさと納税担当職員さんも思わず平らげてしまったほどです。焼き上がった鯖の香ばしい香り、ふわっとほぐれる肉厚の身、お口にジュワーーーーッと広がる旨みと程よい塩気。この鯖を味わえば、一口でこれまでの鯖の概念がきっと変わってしまうはずです!

祖父から伝わる熟成つけ汁に鯖を漬け込んで作ります。漬け込み時間は気温などで微妙に変えます

「越田の干物 さば」。かなり大ぶりです!

祖父の代から受け継がれてきた熟成つけ汁と手開きがすごい!

 

この鯖を作っているのは、銚子港に近い波崎に店を構える「越田商店」三代目の越田英之さん一家です。昭和22年に満州から引き揚げてきた祖父が創業、昭和47年から鯖の文化干し作りを始めますが、今日までなんと45年間、変わらずに使い続けているのが秘伝のつけ汁です。つけ汁の原料は水と塩のみ、継ぎ足すのは塩だけ。防腐剤も加えていないのに腐らないなんて不思議!しかも溶けきらない塩がつけ汁の底に結構な量沈んでいるのに塩辛い感じはなく、まろやかで甘味すら感じられるのはなぜ?その秘密はズバリ、熟成が進んだつけ汁の中にありました。菌の検査機関によるとこのつけ汁の中には、自然にすみついた酵母菌や乳酸菌など48種もの菌が生きており、それらが手をつなぎ切磋琢磨しあい、さまざまな酵素を出しているのだそう。そのおかげで鯖の余分な脂を落とさなくても臭みがなく干物とは思えないほどジューシーで、単に塩をふって作られた干物とは比べようもなないほどの旨みたっぷりの「越田の干物」になるのです!

 

すごいのはつけ汁だけではありません。効率重視のご時世にもかかわらず、一尾一尾手開きしているのもすごいところ。機械を導入せず、祖父の代からの手開きにこだわるには理由があります。機械では魚ごとに微妙に異なる大きさへの対応が難しく、食べられる部分まで削られてしまいますが、手開きにすると極限ギリギリまでおいしい身を残すことができ、身に骨の髄(赤い点々)も残せます。こうしておろした鯖をつけ汁に浸すと、髄が溶け出て混ざり合い、つけ汁に非常によい作用を及ぼすのだとか。このように祖父から続くつけ汁と手開きは切っても切れない、なくてはならない「越田の干物」の真髄なのです。

45年間熟成し続けるつけ汁。こんなすごいつけ汁はここにしかありません!

手開きを任されているのは4代目となる長男の竜平さん。1尾の鯖をおろす時間はわずか6~7秒!

母の信江さんが梱包を担当。慣れた手つきで真空パックに個包装していく

シンプルに焼いてよし、温冷問わず多彩なアレンジもうまし

 

ご自宅ではシンプルに焼いていただくのはもちろん、山椒煮やアヒージョ、巷で大人気の鯖サンドなどいろいろな食べ方が楽しめます。ちょっとアレンジしたいときは、夏なら蕎麦の上に焼いた鯖をのせて冷たいだし汁をかける鯖そば、冷たいご飯の上に焼いた鯖のほぐし身をのせてゴマやシソなどを散らして冷汁風にいただくのもおすすめ。あったかいバージョンが恋しくなる冬場は、豆乳や牛乳で仕立てた鍋に焼いた鯖を加えるのも美味。シェフになった気分で自分だけのとっておきの食べ方を見つけて楽しむのもいいですね。 

肉厚でふっくら柔らかでジューシーで。こんなすごい鯖があるなんて衝撃!脂のりも最高です

「この鯖じゃなきゃいやだ」という人が一人でもいる間はがんばっぺ!

 

鯖の水揚げ量の激減や東日本大震災での風評被害など、これまでの長い道のりで幾多の苦難を乗り越えてきた越田商店ですが、財産ともいえるつけ汁の存続・経営の危機に陥った時期がありました。干物業界で添加物の使用が推奨され、スーパーや量販店から無添加の商品は扱わないと言われたのです。無添加を貫くことを選んだ2代目(英之さんの父)でしたが、経営は苦しくなるばかり。周囲の同業者も倒産、いよいよ切羽詰まったときに2代目が「お客さんがうちの干物を必要としないなら、もうつけ汁の時代じゃないんだよ。つけ汁はやめて、よそと同じように塩を振って添加物をかけて作ろうか……」と英之さんに言ったそうです。それでも、祖父の代からこの作り方が一番おいしく健康にもよいと信じてやってきたこと。ここで諦めたくなかった英之さんは「もしも捨てられたら同じものは二度と作れない!」とつけ汁を大切にしまいますが、さてこれからどうしたものかと思案していました。

 

そんなとき、高田馬場で定食屋を営むおばあちゃんから一本の電話が。越田商店の鯖の文化干しで定食を出していたが扱っていた近所の鮮魚店が閉店し、スーパーで買った鯖で代用したら常連さんからこれじゃ駄目だと怒られた。いくら費用がかかっても構わないからお宅の鯖を送ってもらえないか、というではありませんか!あまりのうれしさに鯖を担いでおばあちゃんの元に届けに行った英之さん。驚きつつも大歓迎してくれたおばあちゃんが、その鯖を焼き始めると、お客さんがこぞって鯖定食を注文!その光景に勇気を得て決意を新たにし、「この鯖の味じゃないといやだという人が一人でもいる間はがんばっぺよ!」と父に伝え、秘伝のつけ汁は守られたのでした。

 

事態は一気に好転したわけではありませんが、諦めずに家業を守り続けていくうちに時代が無添加にやっと追いつき、その価値が認められるように。次第に応援してくれる人が増え、新たなご縁が広がり今日に至る越田商店。「長く苦しい時代があって、助けてくれた人がいて今がある。食べて笑顔をくれる人、鯖を獲ってくれる漁師さん、それを提供してくれる人、包丁を作ってくれる加治屋さん、皆が大切。皆がうちのつけ汁と干物作りを守ってくれていると思うんです」と英之さん。お子様からご年配の方まで安心して食べられる越田商店の干物は、つけ汁と手開きによる昔ながらの製法だけでなく、作り手の真面目で熱心な思いがあればこそ出せる味に違いありません。

相田みつをの詩の一節を掲げ毎日仕事をする越田さんです

加工場のボードに書かれているのは溢れんばかりの感謝の思い

頼もしい4代目も育ち三世代で干物づくりに邁進する越田さん一家(左から母・信江さん、英之さん、長男・竜平さん)

越田の干物 さば